非クラウド側のインダストリーIoTネットワーク

前の投稿で製造業向けIoT(Industrial IoT)のデータの流れを理解するための、参照モデルとしてCIMの階層について説明しました。この投稿では、各階層の構成要素について見ていき、インダストリーIoTのデータがクラウドに乗る前段階のデータの流れについて見てみたいと思います。

インダストリーIoTにおいては、データの収集源が簡単なTCUなどのデバイスではなく、システムであるということがポイントです。システムのどのレイヤーに位置するかにより、データの取得方法や可視化手段が変わってきます。セキュリティを考えるうえでも、当然、情報の性質や、企業ごとに異なる意味や重要度によって、違うレイヤーで考える必要があります。

データは、情報、制御、フィールドのそれぞれを司る、目的の異なるネットワークで繋がれます。情報ネットワークについては、IP網が念頭にあり、大量の情報をさばく到達保証が必ずしも無いネットワークです。ここでは説明は割愛します。

制御系ネットワークについては、通信の保証が必要なタイプのネットワークです。プラントで停止や、温度などの管理ができなくては大変です。そのため、通信が確実に行われることを保証する必要があるネットワークです。PLCなどと一体で作られることもあり、その場合は、個別性、秘匿性の高いネットワークとなります。ただし汎用化も進んでおり、ここでもセキュリティ面の考慮は無視できません。汎用化された後も、昔ながらの運用を行っていて、安易にウィルス感染したUSBを持ち込んでしまったという事例もありました。

フィールドネットワークは、センサー、アクチュエータ間ならびに管理用インタフェースを結ぶネットワークです。複雑さとコストに相関があり、単純なものであれば安価に実現できます。CANバスなどがここのカテゴリに入ります。5Gなどを見越して"CAN over IP"などによりクラウドにそのままCANデータを上げる検討を依頼されたことあります。ただ、CANのデータをそのままIPに乗せるのは、IP網でつながれたクラウドと、フィールドネットワーク、制御ネットワークで繋がれるシステムを直つなぎするようなもので、まだ適切でない気がします。

フィールドネットワークにおけるプレーヤは、ローレベルのセンサーと制御システムとなります。入力とアクチュエータへの操作によっ目的の結果を得るように働きかけるシステムが構築されます。入力とアクチュエータの動作情報とその結果をセンサー(正確にはセンサー+変換器)情報として収集し、目的の結果を得るように操作を行います。

ここで、制御系として機能するのは、マイクロコントローラやPLCやDCSです。マイクロコントローラについては、私がTI時代に使っていたDSP(Digital Signal Processor)もMicrocotrollerに分類され、Micsoprocessorとは異なるプログラミングアプローチを取っていました。

プロセスの情報は、SCADA( Supervisory Control and Data Acquisition)により、中央または遠隔でPLCなどを個別の情報源として集約されます。0.5秒から1分くらいの間隔でポーリングして収集、ないし状態変化のイベントベースで情報を収集します。SCADAはは自動化プロセスの管理、制御のソフトウェアで、データを集約するという意味で、プロセスのデータベースと言えます。独自ないしは汎用的なスクリプト言語でプログラムを操作することもできます。

SCADAで集約されたデータは、時系列データとしてHistorianと呼ばれるデータベースに蓄積されます。このHistoriaデータベースは、制御機器の近くにあることが望ましくOn-Premiseが多いのですが、クラウドサービスでの提供も行われているようです。スピード、高頻度、リアルタイムといった要請にどこまで対応できるかが、検討事項となるでしょう。

上記が、ISA-95/ISA-88標準の枠組みによってMESやERPと連携し、企業活動と繋がっていきます。IoTにおいてクラウドは必須になっていくと考えていますが、インダストリーIoTにおいては、クラウドに乗せるまでも段階でも、リアルタイム性やコストを考えると、専用の制御系ネットワークを介して行われることがわかります。

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